明治大学文学部教授の齋藤孝さんが、子供が疑問に持ちやすいテーマをわかりやすく教えてくれる本、本当の「頭のよさ」ってなんだろう? 勉強と人生に役立つ、一生使える ものの考え方を読みました。
「勉強はなんのためにするの?学校にいく意味ってなんだろう?」と思う中学生や高校生
「なんで勉強しないといけないの?」と問いかけられて返事に困る保護者
におすすめの一冊です。
私は小学生2人の母という立場でこの本を読み、中学生・高校生のお子さんに読んでもらいたい本でもあるし、この年頃のお子さんをお持ちの保護者の方にもとても参考になる1冊です。
この記事でお伝えする内容↓
- 書籍情報
- 著者情報
- 「本当の『頭のよさ』ってなんだろう?」のとても参考になった部分
【書籍情報】 本当の「頭のよさ」ってなんだろう?
基本情報 | |
---|---|
著者 | 齋藤 孝 |
出版社 | 誠文堂新光社 |
初版発行日 | 2019年6月10日 |
ページ | 222ページ |
サイズ | 17.6 x 13.2 x 1.8 cm |
電気書籍版はまだありません。
この本は著者の齋藤孝さんが、中学生や高校生に語り掛けるような話し口調で書かれています。
児童書に分類されますが、「勉強はなんのためにするのか?」「学校に行く意味は?」といった子供からの質問に保護者が向き合って話せるきっかけをくれる本です。
【著者情報】齋藤孝さんとは?
著者情報 | |
---|---|
著者名 | 齋藤孝 |
出身地 | 静岡県 |
職業 | 明治大学文学部教授 |
受賞歴 | 新潮学芸賞受賞・毎日出版文化賞特別賞受賞 |
著書発行部数は1000万部を超え、子供向けに「これでカンペキ!マンガでおぼえる敬語」、「こども 学問のすすめ」、「声に出して、わかって、おぼえる! 小学生のための論語」など児童書も多数著作しています。
「本当の「頭のよさ」ってなんだろう?」の感想
この本は中学生くらいで一番読みやすい本だと感じました。
文章のふりがなは4年生で習う漢字あたりからついています。
行間や文字と文字の間隔も少し広めで、文章自体は4年生くらいから読めます。
重要な部分が太字や大きい文字になっているところも読みやすいです。
学校に行く意味ってなに?勉強は1人でもできるよね
「学校に行かなくても勉強はできる」と齋藤孝さんは書いています。それなら学校に行く意味って?
学校とはたしかに勉強をしに行く場所ですが、じつは勉強以外の意味がすごく大きいんです。
毎日、ほかの人とかかわりに行くことに意味があるんですよ。
ルールの中で生活し、集団のひとりとして、ほかの人たちとそれなりにうまくやっていく力を養うんです。【本当の「頭のよさ」ってなんだろう?】の69ページから一部を引用
確かに相手を選べない状況で一緒に活動するというのは困難もありますよね。
小学生の子供たちを見てもお友達とぶつかったり、泣いて帰ってきたりすることもあります。
そのたびに相手との距離感や、話し方、接し方を考えて次はどうしたら同じことにならないか子供ながらに考える姿をみると、日々成長を感じます。
ここに先生がいることがとても大きく、子供だけではぶつかったままで終わるところを手助けしてくれるのだから小学校には本当に感謝しています。(我が家は担任の先生には恵まれています)
齋藤孝さんは、学校に行かなくてはいけないとは書いていません。
その中でも学校が必要である理由と対処の仕方を書いています。
反抗期に甘えるな!に共感と反省
先輩ママが
「中学校に入ったら一言も話してくれなくなった」
「家ではいつも機嫌が悪い」
「声をかけても返事もしない」
など、よく聞きます。
そして「思春期なんてこんなもの」という言葉もよく聞きます。
しかし一緒に暮らしている家族こそ協力しあって生きていく仲間なのに、その態度はどうなのか・・・というのはとても感じでいました。
自分の過去を振り返っても思春期の悪い態度を父に激しく怒られたことをよく覚えていて、今では感謝しています。
本の第7章「思春期は不機嫌でいてもいいと思ってる?」では「反抗期に甘えるな!」から始まっています。
「思春期特有のホルモンバランスの乱れからくるもの、仕方がない」とみなす人もいますが、ぼくは「仕方がないことではない」と考えています。
なぜなら、「みんながみんな、その時期に荒れるわけではない」から。この時期に激しく反抗しないと、その後ちゃんとした大人になれないわけではありません。
~中略~
関係を良好にするため、一生懸命コミュニケーションしなければならない相手と思っていないから、不機嫌をダダ漏れにしてしまうんじゃないかな?【本当の「頭のよさ」ってなんだろう?】の166ページから一部を引用
けして親の立場から不機嫌な思春期の子供を叱りましょうという内容ではありません。
思春期の子供たちに向けてのメッセージです。
私はこの部分にとても共感するのと同時に今の自分を振り返って反省する点を指摘された気分です。
なぜなら、日々子供たちがいろいろとやらかしてくることに対し、声を荒げて怒ってしまうことも多い。
大人になり子供を産むまでの間に人に対して声を荒げて怒るということはありませんでした。
怒鳴りたくなることはたくさんあっても実際に怒鳴ったことはありません。
ここは子供たちを育てるのに親として責任があるのと同時に、やはり子供たちに甘えているのです。
親子だから、怒鳴っても私を好きでいてくれると甘えています。
我が子と良好な関係でいる努力は忘れてはいけませんね。気づかされました。
読書の有効性よりも本を読むたのしさを伝えている
今は大人も子供もスマホを使うようになっています。スマホ安全アドバイザーの鈴木朋子さんの著書「親が知らない子どものスマホ」をみると、中学生が7割を超え、高校生はほぼ所有していると知りました。
SNSなどで誰かとつながっていないと落ちつかないからスマホを放さない。それでもさみしく感じることもある。
ここについて齋藤孝さんは、さみしいときには本を読もう!と書いています。
本は原則ひとりで読むものです。だけど、本を読んでいて「孤独だなあ」「さみしくてたまらない」と感じる人はいません。
なぜなら、本と向き合うことは人と心を通わせることだから。
本を読むとは著者と対話をすることです。
著者だけでなく、そこに出てくる登場人物と心を通わせることでもある。
だから、本を読んでいるときは、ひとりでいてもひとりぼっちではないのです。【本当の「頭のよさ」ってなんだろう?】の110ページから一部を引用
子供を読書好きにしたい親は多いと思います。読書の有効性はたしかにありますから。
でも有効性を話したところで子供たちが本を読むでしょうか?
やはり「楽しいから読む」が一番だと思いますよね。
第5章の「本とどうつきあうか?」は子供たちに本の面白さをとても上手に伝え、導いています。
後半で本の理解がはっきり残る工夫(速音読や3色ボールペン)も紹介されています。
最後に
前半は「勉強について」、後半は「生き方について」、本の前半と後半ではだいぶ違う印象です。
だから「勉強と人生に役立つ、一生使えるものの考え方」というタイトルなんですね。
話し口調でかかれているためか、とても読みやすく齋藤孝さんと直接会話しているように感じる本です。
一番に中学生や高校生の子供たちに読んでもらいたいですが、思春期のお子さんのいる保護者にもとても参考になる1冊です。
最後まで読んでいただきましてありがとうございました。